法面や斜面に対し、自然環境や生物多様性の保全に配慮した緑化を行うための植生マットであり、以下のような長所がある。
・周辺の森林等に自生する植物の自然侵入で緑化を行うことが出来る（自然侵入促進工）。
・外部から植物材料を持ち込まずに施工できるので、外来生物法や生物多様性の課題に対する有効な解決策となる（地域性種苗との遺伝子交雑や、緑化用植物の拡散等の課題を回避できる）。
・「法面保護機能」と「周辺植物の侵入・定着機能」を両立させる特殊なマット構造を有しており、法面の安全性を確保しながら自然侵入促進工を行うことができる。
・必要に応じて播種工と併用することにより、緑化被覆に要する時間を短縮することができる（緑化用植物の部分播種等）
・従来工法に比べて経済性に優れる。

１）法面清掃
・施工の支障となるかぶりや浮石、その物の雑物を除去する。この際、可能な限り残存植物の種子や根茎等を残すよう心がけ、必要以上の法面清掃は行わない（これらは自然侵入促進工を行う際の重要な植物資源となる）。

２）材料運搬
・『イースターマット』、アンカー類（アンカーピン、止め釘等）を施工箇所に運搬する。運搬は、作業道を使っての小運搬、またはロープによる荷揚げ等によって行う。

３）マット張工
・『イースターマット』を不織布シートが地山側、ネット粗部が法肩側となるように展開する。法肩部の巻き込みは10～20cm程度を標準とする。
・法面との密着性を確保できるように留意しながら、アンカー類でマットを固定する。
・地山との密着性を高めるためには、マットを一気に展開せず足で保持しながら、順次法尻方向に向かって施工するのが望ましい。また、法面の凹凸による浮き上がりが予想される箇所については、アンカー類を増し打ちするのが望ましい。
・マットの重ね合わせは、縦方法、横方向共に2～5cm程度を標準とする。特に縦方向の重ね合わせは重要であり、法肩側のマットが必ず上にくるような形で重ね合わせるとともに、打設間隔が25cm程度となるようにアンカー類を打設すること。これらは積雪害その他の影響により、マットの剥がれ等を防止するための処置である。

■イースターマットＭ－２型の場合
・材料内訳（100m2当たり）
　　イースターマットＭ－２型　　110m2
　　アンカーピン(φ9×200mm) 277本
　　止め釘（大頭釘、L=150mm) 260本
・労務内訳（100m2当たり）
　　土木一般世話役　　　　　　　0.5人
　　法面工　　　　　　　　　　　2.3人
　　普通作業員　　　　　　　　　1.6人

（注）法面形状や土質等に応じて、適宜、マットロス、固定具の仕様、労務人数の変更を行います。

１）自然条件
・周辺に森林等の種子供給源があり、そこに自生する植物の侵入・定着を期待できる場所での採用が原則である。
・種子の供給量が少なく、自然侵入促進工だけでは緑化被覆に時間がかかると推測される場合には、播種工との併用（緑化用植物の部分播種等）を検討するのが望ましい。

２）現場条件
・緑化工の適用が可能な法面・斜面

３）技術提供可能地域
・日本全国

４）関係法令等
・生物多様性国家戦略
・特定外来生物法
・生物多様性基本法